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BREXIT(英国のEU離脱)と、世界経済の地殻変動

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(2016/5/23)

目   次

 はじめに:脱 ‘失われた過去への郷愁’ を   ・・・P.2

1.BREXIT - その背景と、‘こと’の本質             ・・・P.3

(1)Brexitの背景―英国民の不満、そして底流にある問題

・キャメロン首相のEU改革提案

・英国の反EUの気風

(2)英国経済とBrexit 問題

・メデイアが見る Brexit問題のリアル

2.オバマ米大統領の応援歌                         ・・・P.9

 ( 1 ) オバマ大統領の発言「英はEU残留を」が意味すること

・G.Rachman、FT Columnist の指摘

(2)仏紙 ルモンドのリアクション

おわりに:G7伊勢志摩サミットと、BREXIT      ・・・ P.11

  ・Nouriel Robini氏の警告

・G7伊勢志摩サミット

  [ 特別補論 ]  Panama Papers (その2)        ・・・P.13

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

はじめに:脱 ‘失われた過去への郷愁’ を

アンソニー・ギデンズ氏と言えば、周知のとおり、トニーブレア英元首相のブレーンとして、当時、「第三の道」とする社会福祉を強調した成長政策を主導した著名な社会経済学者で、LSE(London School of Economics and Political Science)学長を経て、現在は英国上院議員にある仁です。

その彼が、批判的すぎるかもと、しながらもEUという‘プロジェクト’をさらに推進させたいとの思いを込めて書いたというのが「揺れる大欧州、2015」(原著は「Turbulent and Mighty Continent、2013」)ですが、‘EUからの離脱の是非を問う’ 国民投票を1か月後に控えた今、英国を想いつつ、筆者は改めて読み直してみました。

彼は、その中で現在のEUの問題を、効果的なリーダーシップと民主主義の欠如にあると指摘しつつも、EUはグローバル化の加速とインターネットの台頭で、「高機会・高リスク社会」に変わりつつある世界で、相互連携を通じて一国では望めない積極的な役割と大きな影響力を生み出し得るとして、EUレベルでの大きな政党制とリーダーシップに支えられた連邦化、幅広い政策領域での統合の強化を、提言するのでした。要は、グローバル化と技術進歩による世界の急速な変貌に適応するために、従来とは次元の異なる政策を呼びかけるというものですが、このコンテクストにおいて、彼は、「英国とヨーロッパ’」の項で、次のように語るのです。

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