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世界は今、Decarbonizing

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目次

はじめに Black out in Texas             —————-P.2
(1) 米テキサス州は終末世界の様相
(2) 温暖化対策推進を目指す大統領令

第1章 米国の温暖化対応、世界の行動      ———- P.4
1. テキサス州のBlack outと温暖化対策の現状
① バイデン政権が目指すエネルギー政策を読む
② 温暖化対応が競争力強化の源泉
➂ 米国は気候変動対策(脱炭素)へ真剣に取り組め

2. 世界は、さらに脱炭素に向かう
① 国連グテレス事務総長 -「石炭の時代は終わった」
② COP26会議と英COP26大使、ジョン・マートン氏
➂ 英イングランド銀行、企業の対応はSay on climate!

第2章 国際慈善事業家 ビル・ゲイツ氏と、日本の脱炭素戦略  ————P.7
1. ビル・ゲイツ氏
2. 日本が目指す「カーボンニュートラル」の可能性
(1) 菅政権のグリーン戦略
(2) 脱炭素に求められる発想の転換 ―バックキャスト思考
(3) 「原発」への取り組み
The lessons of Fukushima ― エコノミスト誌が語る‘フクシマの教訓’ の意外

おわりに The world biggest test of co-operation  ——P.10

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はじめに  Black out in Texas

(1)テキサス州は終末世界の様相

この冬、米国は厳しい寒波に見舞われ、とりわけテキサス州では1989年以来の記録的寒波・低温(マイナス18℉)を記録。この寒波で、水道管破裂や停電による水処理施設の停止で断水が発生、さながら終末世界の様相と報じられる処でした。 バイデン大統領は2月20日、非常事態宣言に加え同州に対する大規模災害宣言を発する処でした。

そもそも石油や天然ガスの主要産地のテキサスで、安定した供給が期待できない事態を生んだのはなぜか? こうした事の背景として、州内電力網を運営するテキサス電気信頼性評議会(ERCOT)が寒波襲来によるエネルギー需要の急増をきちんと予測できなかったことにあるとされています。つまり、今回のような寒波にはめったには襲われることはなく、従って電力会社は設備の防寒対策に投資したがらないこと、これが今回のような災害を大きくしたとされる処、3月3日には同評議会のビル・マグネスCEOは解任されています。

加えてもう一つ、テキサス電力市場の独特な仕組みが大停電の一因だともされる処です。つまり、アラスカとハワイを除く米本土48州の内テキサス州だけがTexas Interconnectionと呼ばれる州内で完結する送配電網があり、そのシステムがあることで、州内での発電機能が停止したとしても、他州から州境を超えて電力を融通してもらえず、その点からは今次の大停電は、まさに制度上のミスによる結果であり、行政のミスによる処とも云えそうです。 更に、野党・共和党の政治家たちからは、ここぞとばかりに風力等再生可能エネルギーへの依存が計画停電を招いたと批判する処です。が、今回の供給不足の主たる原因はテキサスの電源シェアーの半分近くを占める天然ガス発電を巡る問題、つまりは自由化の進むエネルギー市場への対応が問題と云うことですがERCOTを含め、人為的な瑕疵に負うものであって、その点、大停電の主因は‘再生可能エネルギー問題ではなく、ガス発電の問題で、従って、インフラ投資なしには再発不可避とみられる処です…

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