バイデン米大統領の「施政方針演説」を解体する
目次
はじめに:米NICレポート「Global Trends to 2040」 ——-P.2
第1章 「バイデン施政方針演説」が映し出す新たな経済トレンド ——P.4
1.バイデン施政方針演説 深読み
(1)米経済再生に向けたバイデン政策のかたち
(2)バイデン政策のキモは‘増税’
・「小さな政府」対「大きな政府」
2.バイデン増税政策と進歩資本主義
(1)バイデン増税政策とグローバル経済
(2)Progressive capitalismの実践
第2章 バイデン外交 ―米中対立の行方 —–P.8
1.バイデン外交の規範 ― 米・同盟国 対 習近平中国
2.米中対立の行方を読む
(1)二人の識者の見立て
① 米クレアモント・マッケン大教授、ミンシン・ペイ氏
② 米 政治学者、イアン・ブレマー氏
(2)M.ガブリエル氏のアドバイスは「対話」
おわりに 期待されるG7の復活 —- P.11
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はじめに 米NICレポート「Global Trends to 2040」
4月8日、米National Intelligence Council (NIC: 米国家情報会議) は 「GT2040」―「The
more contested world’ of 2040: the forces and dynamics shaping the national security over
the next 20 years」を公表しました。
米NICは1997年から4年ごと、「グローバルトレンド」を発表してきており、発表年から20年後の米国の戦略環境に係る諸要素を分析し、対象年の世界秩序に係るシナリオを提示してきています。そして、当該報告書は、本来米大統領選挙に勝利した新大統領に対する報告書として策定されてきていますが、今回の「GT2040」についてNICは「政策立案者が政権発足の早い段階において、国家安全保障戦略を策定し、不確実な未来を航海する際に、彼らに分析の枠組みを提供するものだ」と説明していることから、バイデン大統領ほかバイデン政権の為に記述されたと云えそうです。
となれば、4 月28日、バイデン氏は上下両院会議で施政方針演説を行っていますが、そのspeechを理解するためにも、この際はGT2040の理解は欠かせぬものと思料する処です。 今次弊月例論考ではバイデン施政方針演説を巡る諸事情をテーマとすることとしたいと考えていますが、従って当該G2040報告について予め理解しておくべきと思料するのです。そこで本論に入る前に当該 `Executive Summary ‘と`Global Trends Overview’ (報告書全文は156ページ)を基に、その概要を報告しておこうと思います…