2020年、米中関係の行方、そして日本経済のトレンド
2020年、米中関係の行方、そして日本経済のトレンド
目次
はじめに 2020年、国際社会の行方 ――P. 2
(1)2020年は国際政治の転換点
・転換点の国際政治
(2)ステイグリッツの`Progressive capitalism’ (進歩資本主義) 再論
・本論考のシナリオ
第1章 世界貿易と米中デカップリングの 行方 — P. 5
(1)「グローバル・デカップリング」という神話
・米中貿易協議
・The Myth of Global Decoupling ― Stephen Roach氏の思考様式
(注)GVC(Global value chains)が示唆する戦略性
(2)China’s View of America ―貿易戦争の先を見据えた中国
第2章 日本経済のトレンドと生産性の向上 —-P. 8
(1)日本経済の今後
・小さくなる日本の経済
(2)日本の生産性が低いわけと、その対抗策
・日本の生産性はなぜ低い
・生産性向上に向けて
おわりに デジタル元年 — -P. 11
・デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・2020年をデジタル元年と位置付ける安倍首相
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はじめに 2020年、国際社会の行方
(1)2020年は国際政治の転換点
56年ぶり、東京‘五輪’開催を控えた日本の新年がスタートしました。メデイアが伝える日本企業トップの多くが表明した年頭所感に映るのは、五輪、加えて次世代通信規格「5G」の商用サービス開始など、以って国内経済活性化への期待でした。が、反面、世界の政治や経済の先行きに対する警戒感を強めるものでした。 その世界経済ですが、米中覇権争の行方が最大の変数との見立てを以って越年しましたが、この間、米国による中国はずしの動きが、更に勢いづいてきていることからは、その状況は更にきびしくなってきていることを感じさせる処です。巷間、日欧の当局者や識者の間ではもはや米中のデカップリングの危険があるかどうかではなくどこまで広がってしまうかに懸念が集まっていると、伝えられる処です。 因みに、1月8日、世銀が公表した今年、2020年の世界経済の成長率見通しは2.5%で、昨年6月時点での見通しからは0.2ポイント下方修正です。落ち込みの最大理由は関税合戦の影響で、米国は1.8%(前年2.3%),中国は5.9%(同(6.1%)といずれも前年比減速、世界全体の貿易量も大きく落ち込むと見込む処です …