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BREXIT、その混迷の構図と行方

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[ 1 ]  総括:BREXIT、Standstillの構図

・Standstillの構図:英国のEU離脱問題は目下standstillの状況。それは国内外の要因が三つ巴となって、しかも各要因間の整合が得られないことにある。その要因とは以下の3点。

一つは、国民投票で多数を得た離脱派(強硬離脱派)が主張する完全離脱に伴う国境管理問題、二つは「合意なき離脱」の回避のため、英・EU政府間でまとめられた離脱にかかる協力合意案「協定案」の内容、そして三つ目は30年間に及んだ‘北アイルランド紛争’を平和裏に終結させた際の包括和平合意「ベルファスト合意」内容との整合問題。つまり’英国の離脱問題‘とはこの3元連立方程式を解くが如きの話し。

[3元連立方程式の実際]

  • 国民投票(2016/6/23):離脱派勝利(欧州懐疑派の一つの帰結)。離脱派の主張は関

税自主権の回復。この為にはEU加盟国との間に国境線を引く事が不可避→ 国境管理(ハード・ボーダー)の復活となるが、問題は、これがベルファスト合意に反するという事。 

(2)英・EUとの離脱協定案(2018/11/25):両者政府間で離脱時の混乱を防ぐべく離脱合

意案(協定案)を策定。その際、盛り込まれたBackstop(安全策)が「北アイルランドを

含む英全体をEUと同じ関税区域に留める」として合意されたが、英国議会では離脱派が

これでは彼らの主張する完全離脱にはならないこと、更に修正案でも北アイルランドだ

け一定期間EU関税域内に残すとしたが、これも完全離脱にはならないとして拒否。(1月

15日、230票差/ 3月12日、149票の差/ 3月29日, 58票差、でいずれも拒否。)同時にベルファスト合意にも反すると。

(3)ベルファスト合意(1998/4)との整合問題:

・英領北アイルランドとアイルランド共和国の国境往来は自由(国境は作らないとの合意)

 ・アイルランド共和国が主張する北アイルランドの領有権放棄。(北アイルランドの帰属は

将来実施予定の住民投票にゆだねる)、等。・連立方程式の解:上記事情からは、英国のEU離脱の最大の壁が、英領北アイルランドと地続きのEU加盟国アイルランドとの国境管理問題だが、当該連立方程式の未知数相互間に ‘二律背反’ が存在している事から、現状、誰が首相になっても「解」を得ることは不可能と言うもの。 ― そこで、BREXIT最大の壁となっているアイルランド国境問題の実状[2]、次にBREXITに向かった英国政治の内実 [3]、メイ政治の実像と今後の行方 [4] 、についてレビューする・・・

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