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令和大恐慌回避のために、財務省の増税&緊縮路線を打破する論理

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【前書き】
特許と恐慌回避は一見すると無関係に見えますが、その間には隠れた大きな関係があります。
1927年(昭和2年)に昭和金融恐慌が発生した時に大蔵大臣として昭和恐慌から日本を脱出させた高橋是清は、1884年(明治17年)商標登録所長、1885年(明治18年)には専売特許所長を兼務して、現在の特許庁の初代長官でした。

Korekiyo Takahashi 2.jpg

上図の出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%98%AF%E6%B8%85

発明は問題抽出と問題解決の成果であり、イノベーションの元素とも言えます。
そして、イノベーションは生産性向上によってGDPを成長させる元です。
初代特許庁長官として辣腕をふるった高橋是清は発明創造の思考方法を理解していて、イノベーションの重要性についても経済の仕組みも理解していたと思われます。次の論考では高橋是清を日本のピケティとして紹介しています。
https://mbp-japan.com/aomori/soh-vehe/column/200804/

高橋是清にならって、発明創造における問題抽出と問題解決の思考方法を、「消費税率10%を無理やりに実現して日本を恐慌に落とし込みつつある財務省の論理」に適用して問題解決策を創造してみましたので、その内容を順番に説明します。

【説明】
1. 財務省の論理

財務省の論理は単純です。
国債発行残高を減らしたい、できるならばゼロにしたいという事です。
そのためは、新規国債発行をやらなくても良いようにしたい。
だから、国債発行が必要となる原因であるプライマリーバランスが赤字という事態をなくしたい。
ここで、プライマリーバランスの定義式を示します。

プライマリーバランス額=(税収+税外収入)-(歳出 - 国債費)

上式の根拠: https://www.mof.go.jp/faq/budget/01ad.htm

財務省はプライマリーバランスを黒字化するために、税収を増やして、歳出を減らすという政策を採用しています。
そのために、消費税増税と歳出削減を25年以上継続していて、この25年間で世界各国は平均で約2.4倍にGDPを増やしたのに日本だけはGDPを増やせていません。
https://www.andouhiroshi.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/62e04b2beb720db169bf64ec9d395bef.pdf

その結果、税収も増えておらず、プライマリーバランスは赤字のままです。そして、焦った財務省はさらに増税&緊縮路線を暴走しています。
このような失敗を財務省がしている大きな要因は、財務省が法学部出身者が主力の「ド文系」であるために、出力から入力にフィードバックがある動的システムの概念が判らないので、税率を増やせば税収が増えるとの浅い理解しかしないという部分もあります。
もう1つは、プライマリーバランスの定義式の中にある「税外収入」を例外的な小さいものであるとして無視しているところです。税外収入の最大のものになるべきなのは、政府貨幣発行額です。

2. 政府貨幣発行によってプライマリーバランス黒字化と国債発行残高ゼロと消費税廃止と歳出拡大を実現するとの論理

財務省の希望を叶えることは実に簡単です。

政府には通貨発行権があり、現に政府はその通貨発行権に基づいて貨幣を硬貨として発行しています。すなわち、政府はすでに日常的に使っているこの通貨発行権を用いて巨額の政府貨幣を発行することで、国債発行せずに十分な財源を確保すれば良いだけです。

この実現のために解決すべき問題は、現在の通貨法に適合する方法で巨額の政府貨幣を発行するにはどうすれば良いかという問題1と、巨額の政府貨幣発行で過度なインフレを発生させないようにするにはどうするかという問題2の2つになります。

まず、問題1(巨額の政府貨幣発行)の解決策について述べます。

下記リンク先の通貨法の2条3項では、通貨を貨幣と銀行券の2種類であると規定しています。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=362AC0000000042

通貨法の第5条と第6条は下記の【参考】のようになっています。したがって、政府が1万円の貨幣を素材、品位、量目、形式、枚数を政令で定めて記念貨幣として発行することが可能です。

そこで、政令を定めて、半導体微細加工技術を用いて縦横が10ミクロンの1万円を、縦横が10センチメートルのシリコンウエハー上に10000×10000=1億個形成し、1枚で1兆円のシリコンウエハーを1200枚作成します。それを建国記念日に政府が発行して日本銀行に当座預金します。その当座預金を用いて国債発行残高1000兆円を全額償還する財源にするとともに、150兆円で少なくとも5年間は消費税廃止をする財源とし、残りの50兆円で5年間は年間10兆円の政府支出の増大のための財源にもします。国債発行残高を全額償還しますと、年間23兆円の国債費(債務償還費+利払い費)が不要となりますので、政府支出は年間10兆円+23兆円=33兆円を継続的に増額できるようになります。大幅な支出拡大ができるという事になりデフレ脱却して日本は高度成長路線を実現できます。
すなわち、政府貨幣発行によってプライマリーバランス黒字化と国債発行残高ゼロと消費税廃止と大幅歳出拡大を実現することができることを示しています。

次に問題2(過度なインフレ防止)も解決できている事を説明します。

発行した政府貨幣は日銀に当座預金されて日銀当座預金に入りますが、国債償還のための支払いに使われた部分は、政府の日銀当座預金から民間銀行の日銀当座預金に貨幣が移動するだけであり、民間企業や個人の金融資産である民間銀行預金(民間銀行の口座)には移動しませんので、その貨幣は民間経済には入りません。

したがって、民間経済の貨幣量は増やさないので、インフレにはなりません。

また、国債全額償還の財源は税収ではないため、民間経済から貨幣量を減らしませんので、経済をデフレにして国民を貧乏にすることもありません。

本来、政府の歳出の主要部分は政府貨幣発行でまかなうことが正常状態です。なぜならば、税収は政府貨幣発行によって得た財源で政府が支出したことで国民経済に貨幣が流通しているからこそ存在できるからです。税収は経済の調整機能を担うものであり、政府の収入の主要部分であってはならないのです。

与党国会議員に今国会での議員立法を望む「令和恐慌克服2法案」は、次のとおりです。

【改正が必要な背景】
日本が経済恐慌になってもなお大幅な財政出動ができない原因が財政法4条1項での「公債の原則禁止」と財政法5条での「公債の日銀引き受けの原則禁止」である。これらは、過度なインフレにおけるインフレ抑制策であるのでデフレ経済のもとでは適切な経済政策の発動を妨げる。さらに言えば、日銀が民間から買い取った国債は償還済みとして消滅させるべきである。日銀は政府の子会社なのであるから、政府が日銀から借金返済と金利支払いを求められるなどという事はおかしな話である。
財務省設置法3条1項での「健全な財政の確保」をプライマリバランス黒字化目標と解釈した財務省の暴走を発生させて、日本を約30年間の経済衰退に陥れた。
財務省設置法4条1項に列挙された所掌事務が、財務省が他省庁およびすべての地方公共団体の予算と決算を支配し、日本銀行も支配させて、どこからの評価も制御も受けずに財務省の暴走を継続させている原因であるので、財務省に対する客観的な評価と制御の仕組みを入れることが必要となる。
https://www.youtube.com/watch?v=DFWz44WvVg8

●法案1: 財政法改正
財政法4条1項  
【現行】国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。  
【改正案】国の歳出は、過度なインフレとなっている場合に限り、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。

 

【日本経済復活の秘策:国債発行しても国債発行残高を減らせる仕組み】
財政法5条を下記のように改正することで、国債発行をして財源を確保して、消費税0%と政府支出拡大を実行できるので、デフレ脱却と経済成長が実現できる。
しかも、日本銀行が国債購入をするごとに国債発行残高は減少するので、プライマリバランス黒字化目標は存在理由を失って消滅する。そして、日本政府は国債発行を継続できて、政府支出拡大も継続できる。これによって、日本経済は復活できる。
              

財政法5条
【現行】すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

【改正案】過度なインフレとなっている場合に限り、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。日本銀行が買い取った国債は元利合計の全てが買い取りの時点で消滅するものとする。

●法案2: 財務省設置法改正
財務省設置法3条1項
【現行】財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。  
【改正案】財務省は、豊かな国民生活の確保および日本経済の発展適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。

財務省設置法4条1項柱書
現行財務省は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
【改正案】財務省は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどるが、その任務の達成度の評価を総務省行政評価局が財務省からの影響を排除して実行し内閣総理大臣にこれを毎年報告する。内閣総理大臣はその達成度の評価に基づいて財務省職員の処遇水準を定めてその処遇水準の実行を財務大臣に指示する。

 
さらには、公職選挙法第3条に第2項を追加して、帰化人が選挙権も被選挙権も得られないようにすれば、日本の政治は日本の国益を実現するように大幅に改善できると思います。
公職選挙法第3条2項
 この法律において「日本国民」とは、出生の時から継続して日本国籍のみを有している者をいう。
 

3. 消費税率0%の賛成議員を増やすための論理

(1) 方針: 消費税率を0%に大幅減税することで、低所得者の生活を楽にするとともに需要を喚起して冷え込んだ景気を回復することを目的にする。しかし、消費税減税に懸念を抱いて消費税減税に賛成しない議員もいる中で、消費税減税の懸念点を全て解消する新たな方策が発見されたので、財政破綻や将来世代への付け回しなどの懸念を持たずに、消費税減税に賛成する事ができると、説明する。
(2) 効果: 消費税増税派の議員は、新たな方策が発見されるまでの自分たちの消費税増税政策は新たな方策が未発見だったのだから仕方がないとされるので批判対象とはならない。したがって、消費税増税派も批判されることもなく新たな方策に移行して、消費税減税に賛成するようになる。
(3) 消費税増税派が持っている懸念点:
懸念1: 消費税を増税しなければ少子高齢化によって増大の一途をたどる社会福祉予算を賄うことができない。
懸念2: 政府支出のための財源の不足分を現在は赤字国債発行で賄っているが、赤字国債の発行残高が増加の一途をたどっているだけでなく、国債の金利支払い額も増大している。国債を返済するための資金を新たな国債の発行で賄うという今のやり方は、雪だるまのように増え続ける国債発行残高を将来世代に押し付けるものであり、もはや通用しない。
懸念3: 消費税0%にすると、過度なインフレになった場合にインフレ対策としての消費税を増税することに国民の賛成が得られず、インフレ抑制ができなくなる。
(4) 消費税減税の懸念点をすべて解消する新たな方策:
政府貨幣を巨額(例:1200兆円)に発行して、それを政府が全て日本銀行に当座預金して巨額な政府の日銀当座預金残高を創造する。
政府は、巨額の日銀当座預金を用いて、(1)国債発行残高の全額一括返済をする、(2)消費税0%とする、(3)政府支出を大幅に増額(例:年間50兆円)する。
また、消費税率の決定方程式を法律の中に規定することで過度なインフレ時には自動的に消費税率が上がるという仕組みを入れておく。
例: 消費税率 = Max(0% , (前年度の平均インフレ率-2%))

注)国債発行がなくなると金融機関の投資先がなくなることで発生する不具合もあるので、国債発行残高一括返済で国債をゼロにできることを示した後に、必要に応じて新規に国債を発行すれば良い。

この新たな方策を実行すると懸念は解消する。
懸念1について:政府貨幣発行によって社会福祉予算はいくらでも支出できるので、懸念1は解消する。
懸念2について:国債発行残高を全額一括返済するので、国債発行残高と金利が雪だるま式に増えることはない。
懸念3について:過度なインフレ時の消費税率の自動引き上げの仕組みがあるので、懸念は解消する。

 

●政府貨幣に関する先行研究

1. 新正統派ケインズ主義宣言

http://www.niwa-haruki.com/

2. 丹羽春喜氏 『財政政策で日本を再建せよ!!』 -政府貨幣発行特権の発動で無尽蔵な財源を確保せよ!-

https://worldforum.jp/information/2009/post-2459.html

3. 1/11【第2部】CFGシンポ 「丹羽春喜先生と政府貨幣特権について」[H22/ 1/31]

●令和恐慌回避のために消費税廃止を主張する人々の動画

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