日本政府の平昌五輪の危機管理は大丈夫か?
情報メモ37
2018.2.5
○ はじめに――日本独自の五輪危機管理を万全に
平昌五輪開催が開催間近に迫った。日本から、選手団はもとより多くの観覧客などが韓国に向かっている。今回、北朝鮮が参加する五輪においては、日本人をターゲットとして危害を加える可能性がこれまでよりも高まる可能性があると思料する。このため、日本は、独自の五輪危機管理に万全を期すべきである。
○ 日本人をターゲットとして危害を加える可能性
平昌五輪では、北朝鮮が参加することになったため、全体としては、テロなどのリスクは低下するものと見られる。しかし、日本人に対する危害のリスクは高まるのではないか。その理由は、「北朝鮮が自らの特殊部隊要員(北朝鮮五輪関係者の中に含めて入国)や韓国・日本にいるスリーパー(潜伏内通者)などを使って、日本人だけをターゲットとして攻撃(殺傷)を行い、日韓離間を謀ろうとする」からだ。
○ 攻撃目標
- 安倍総理など政府関係者
なお、安倍総理の安全確保は、韓国(陰では米国・米軍)の最重要課題であり、これについては余り懸念する必要はないと思う。
- 選手団
- ボランティア
- 在留邦人
- 一般旅行者
○ 攻撃手段
- テロ(射殺、刺殺、毒殺、放火、化学・生物兵器攻撃など)
- 選手らの飲食物に毒物(身体機能損傷)混入、レーザーポインター照射など
- 拉致(韓国側は「行方不明」と発表)
○ 危機管理の大綱(アウトライン、これに基づいて具体化が必要)
- 渡航者への注意の喚起
- 渡航者に過剰な恐怖心などを与えない範囲で、「不測事態があるかも知れないので、十分に注意するように」とのメッセージを伝達。
- 既に、外務省海外安全ホームページに、下記のメッセージが発出されている。
「現在,危険情報は出ておりませんが,北朝鮮との関係において,朝鮮半島情勢は,引き続き予断を許さない状況にあります。最新スポット情報,安全対策基礎データ,在韓国日本国大使館/総領事館のホームページや報道等から常に最新の情報を入手し,安全対策に心がけてください。」
- 危機管理組織の確立
- 五輪期間、政府内に危機管理司令部を設置。
- 韓国内においては、ソウルの日本大使館を現地指揮所として、平昌もしくは江陵市に前方指揮所を置く。
- 大使館の危機管理要員は、防衛駐在官(三名)の他、所要の自衛官・警察官などを臨時派遣(ただし、旅行名目)。
- 情報収集
- 米軍情報の入手ルートの確立。
- 情報要員の自衛官・警察官などの増加派遣(ただし、旅行名目)。
- メディア情報との連携。
- 救急救命体制の確立
- 生物・化学兵器対処要員として現役・退職自衛官医官(軍医)を平昌もしくは江陵市の前方指揮所を置く。
- 生物・化学兵器用検知、測定、防護、除毒器材・薬物などの携行・準備。
- 緊急間者空輸のため、平昌五輪会場に最も近い襄陽(ヤンヤン)国際空港を使う緊急空輸ルートの確保。
- 通信手段の確保
- 特に江陵市に前方指揮所と日本大使館・政府内危機管理司令部の間。
○ むすび
筆者のメモをご覧になり、「これは杞憂だ」と思われるに違いない。身に沁みついた、元自衛官の職業病の為せる業と、御寛恕・御笑覧いただければ幸甚です。