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仲裁裁判で露呈した「無法国家」中国の正体   <力や威圧>で野望達成に突き進む中国への対応

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(1)中国は、フィリピンが提訴した南シナ海問題に関する仲介裁判及びその判決(【コラム1】 参照)を完全に無視したことで、はからずも、「無法国家」の正体を露呈し、世界の認識を 新たにするところとなった。

 

【コラム1】常設仲裁裁判判断(2016.7.12)のポイント

  1. 中国は南シナ海の海域について「歴史的権利」を有していない。
  2. 1982年に採択された国連海洋法条約は、中国が主張してきた境界線「9段線」より も優先される。
  3. スプラトリー(中国名、南沙)諸島の形状は、中国に何らの排他的経済水域(EEZ)の 権利を与えていない。
  4. 中国は、特にスカボロー礁(同黄岩島)において、フィリピンの伝統的な漁業権利を妨 害してきた。
  5. 南沙諸島のリード堆付近での中国の石油探査は、フィリピンの主権を侵害している。
  6. 中国は、魚の乱獲や人工島の建設といった活動によって、南沙諸島の生態系の一部に損 害を与えてきた。

法治よりも人治が勝り、裁判所も中国共産党の統率指導下に置かれている中国ならでは の対応であり、果たして中国は、国連海洋法条約(UNCLOS)のみならず、その他の国際 ルールを尊重する意思があるのか、との国際社会の危ぶむ声を増幅させる結果になったの が今般の裁判ではなかろうか。 中国の反応を予測して、今年5月の伊勢志摩サミットの首脳宣言では、海洋紛争につい て「仲裁(裁判)を含む平和的な手段による紛争解決を追求することの重要性を再確認す る」と明記された。また、仲裁裁判所が中国の「全面敗訴」の判決を下した後の、初めて の国際会議となったアジア欧州会議(ASEM)では、「海洋安全保障、航行と飛行の自由を 強化する」ことを確認するとともに、「力の行使と威嚇の自制」を促し、「国際法や UNCLOS に基づく紛争解決が重要」と明記した議長声明が採択された。中国の名指しこそ避けたが、 南シナ海問題を巡る仲裁裁判所の判決を受け入れることを中国に求める内容となった・・・

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