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人を大切にする経営学会

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①2016年の年明けから世界は大波乱含みですが、2015年も大企業の偽装・腐敗が大きな社会問題を引き起こしました。東洋ゴムの免震・防震ゴム性能偽装、東芝の不正会計(見かけ上の当期利益のかさ上げ)、フォルクス・ワーゲンの排ガス規制逃れ(試験時だけ排ガス低減)、旭化成建材から広まった杭打ちデータ改ざん問題。これらは企業が儲け主義であり、企業本来の「社会の公器」ではなくなっているのが原因です。儲け主義になると人に役立つのではなく、人は利潤獲得の手段となり、しかも、利潤獲得は毎年配当のための“当期主義”(東芝:当期利益のため「3日で120億円利益出せ」)となっています。労働の流動化や多様な働き方という美名を使っていますが、益々人の使い捨てを広げています。非正規雇用者改正労働者派遣法施行(2015.9.30):受入れ期間制限なしや、非正規比率4割に(厚労省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」11月4日)もなっているのが現状です。典型がブラック企業、学生ユニオンの力で大幅に改善されたとはいえ、「会社は儲けることが一番で、株主のものになっていること」がブラックバイト横行の原因です。

②人間尊重経営として経営者と社員がパートナーである関係の「労働の人間化」が求められます。このことで<企業は株主のものとして配当を出すために法令違反してでも儲けたやつが勝ちという>儲け主義から労働の成果物は企業のものとして、一種の強制労働である「労働の疎外」を起こしていることを改善していけます。

③さらに日本の問題は失われた20年、東京一極集中で(1、税収不足、2、少子高齢化、3、地方の疲弊)を引き起こしました。この問題の解決方向は、3の地方の疲弊を解決できれば、2も1も解決します。方法の鍵は地域に新しい仕事と雇用をつくる事です。都市より収入が低くても田舎では一定の収入さえあれば介護と育児を含め生きやすいため、子供が増えて税収も増えていく、高齢者にも働く場を提供できることになり医療費も削減でき地域循環経済も生まれます。

④具体的に言えば、輸入・移入置換すること、つまり県外から買っているものの代替品をつくり、さらにそれに付加価値をつけて県外に売るようにすること。それが日本が輸入している代替品になり、さらに日本からの輸出にもつながっていきます。(ジェイン・ジェイコブスの発展する地域・衰退する地域)

⑤地消地産を進め地域でお金を循環させること(宮崎の口蹄疫後の対応のための分析では都農町の生産額544億円で畜産49.8億円、農業47.8億円と農業県なのに肥料や飼料や農業機械を全部県外から買っている事実と、飲食177.1億円もあるのに地元材使用が36.8%であり、これを10%上げ46.8%にするだけで移入額が5.4億円減少し、町内生産額が8.7億円増えると分析提案)と。そしてその上で、作り出した代替品に付加価値をつけて地域外からお金を稼ぐ企業をつくることです。

⑥1月4日の報道で「母親の民間調べ、子育てと介護の同時進行のダブルケアの経験は8%で、今後直面すると回答したのが14%」との恐ろしい報道もありました、従業員本人のメンタルヘルスも大事ですが、家族構成もきちんと把握しておかないと介護離職増加の恐れを感じます。岡山旭東病院の土井院長が職場環境改善に努めている中で自社の看護婦さんを調査すると平均で子供が1.99人であり成果が少しでてきており、職場環境を良くすると少子化を防げるものになっていくと1月9日に言われていましたが、同友会として会社の従業員の子供の数を把握する必要を感じます。

⑦多くの論調は労働生産性をあげろと提案していますが、高齢人口が4割にもなる地域では生産性が上がるはずがないのです。少子高齢化時代は生産性を上げるや、生産効率を上げる目標ではなく、付加価値を上げることが求められます。その時に他にないという意味でも「地域資源に付加価値つける」ことができる企業、商売敵でも地域では理念で連携できる企業が求められるのです。だから人と地域を豊かにする時代は「人を大切にする理念を持った企業の時代」になっているのです。教訓的で大事なことは、「金が金を生む」風潮の蔓延です。本当は「金は金をうまない」にも関わらず、そうなってきたのは世界にグローバルスタンダードという「会社の目的は利益をあげることだ」との間違いを広めた新自由主義がまき散らかれ、日本もその波にのり、「お金をもうけたやつが偉い、競争に勝てたやつが偉い」という風潮が蔓延したことから出てきています。企業の基本である「お客(人)のために役に立つ」という経営理念をもち、人を大切にすることから、社員をパートナーとしている企業を多くつくりたいものです。

 

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