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仮説:貨幣とは何か?どのようにして発生したのか?

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社会の進化とともに、「債権と債務の記録」からだんだんと不要な限定条件となる記録が外れていき、使いやすい形態になっていき、価値受領権情報として貨幣が誕生したという仮説を持ちました。何らかの刺激の1つとしていただければ、幸いです。
 【貨幣発生までの過程】
第1段階: 「Aさんが品物Xを分量sだけ、Bさんから受け取った。」という事実を債権と債務として記録して、Aさんの債務とBさんの債権を発生させた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Tally_stick
これができるためには、その社会に共通の言語が存在している事と、数の概念があることと、文字を記録する媒体があることが必須要件となる。
この段階では、債権者と債務者は特定者であるし、債権/債務の内容も債権/債務の分量も特定の種類の品物Xごとのものであった。
第2段階: 債権/債務の分量を計る価値の尺度が特定の品物Xに依存しない汎用的な価値尺度pによる価値量rで記述されるようになった。その場合でも、債権者と債務者は特定のAさんやBさんとして記録されていた。汎用的な価値尺度としては、例えば、米の量で計るとか、金の量で計るというものである。
この段階では、共通の汎用的な価値尺度への換算の為、第1段階に加えて足し算、引き算、掛け算、割り算が社会に普及している事が必須である。
第3段階: 債権と債務が特定の品物に関する内容ではなくなって、汎用的な価値尺度を用いて債権と債務の量を記録できるようになった後、いつかの時点から債務者を特定の個人にするのではなく、社会全体としても良いのだと気づいた。
なぜならば、債権と債務の記録を社会全体で集めて、相殺作業をしていたら、だんだんと煩雑で膨大な量の作業に困らされて、どの債権債務の記録も債務者を社会全体にして記録した方が、相殺作業が簡単だと思った者が出た。そして、債権と債務の記録から債務者の特定を止めて、債務者は社会全体という事にした。そして、債権も債務も価値の共通尺度によって記述する事とした。
そうすると、社会を構成する人の数が増えるほどに、債権者側からすると自分が必要とする債務を社会の誰かに実行してもらえる可能性が飛躍的に増加した。
第4段階: 次の段階は相殺処理の分散化と債権の移転の連鎖の実現であった。社会を債務者とする一定の数値で量が示される債権(価値受領権)を一定の形状のコインに化体させるのである。そして、政府がコインを大量に発行して、社会に大量に流通させることで、コインと、物やサービスとの交換によって自動的に分散的にコインの持ち主の債権と社会の債務が相殺できた。しかも、物やサービスを提供した者はコインを受け取ることで、コインの新たな持ち主となり債権を社会に対して持つことになった。そして、コインの新たな持ち主は社会の誰かとの間で物やサービスとコインの交換を行なうのである。
これが貨幣の発生である。

三橋貴明氏によると、貨幣の発生過程は次のようなものだそうです。

額面に記載の数値で示された量の金を交換に得る権利の証書である「金匠手形」が、不特定の物品やサービスの受領の対価の支払い手段として社会的に認知されて貨幣機能を持ちました。

上図の出典: http://mtdata.jp/data_66.html

他にも、額面に記載の数値で示された額の納税義務を消滅させる権利の証書である「納税券」としての「日銀券」も、不特定の物品やサービスの受領の対価の支払い手段として社会的に認知されて貨幣機能を持ったのだと思います。

「金匠手形」や「納税券」が裏付けとして持つ金との交換の権利や納税債務を消せる権利から誘発されて貨幣機能が発生し、使用者はもはや債務者を意識しないようになります。

すなわち、貨幣を使用してバスに乗ったり、食料を買ったり、家を買ったりしている際に、これは金に交換できるものだとも、納税に使うためのものであるとかも考えません。非課税対象者は特にそうだと思います。

すなわち、貨幣は債権・債務の記録から誘発された機能ではあるが、最初の債権や債務の内容(金との交換や納税)の範囲をはるかに超えて、不特定の対象についての取引における対価支払い手段に拡張されており、特定の債務者が誰であるかや、本来の債務が何であったかは問題にしないで使用されるようになって初めて貨幣としての本来の機能を発揮し始めます。

貨幣とは、債権・債務の記録から誘発されて、債務者の限定を外すとともに債権の内容の限定も外して、額面に記載の数値の大きさの量の価値を受領できる権利である価値受領権として汎用化させて発生した価値受領権情報である。

価値受領権は権利ですので、国家権力を基盤として存在します。受領する権利であり、請求権ではないので取引相手の同意のもとで貨幣と引き換えに価値を受領できます。貨幣とは情報ですので、それが物質に化体した場合には金貨や硬貨や紙幣となります。貨幣を電子的に存在させた場合には、電子マネーとなります。

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