この時期に経営したいのはウェルズ・ファーゴ銀行だ
『この時期に経営したいのはウェルズ・ファーゴ銀行だ (The bank I would like to run at the moment is Wells Fargo)』
こう語るのはドイツ銀行のジョン・クライアン(John Cryan)co-CEO(『こちら』)。
1月28日に発表した2015年の決算は68億ユーロ(8700億円)の赤字(『こちら』)。
経営陣は賞与をいっさいもらわないことにしました。
株価は昨日まで連日安値を更新していて、昨日のニューヨークでの終値は15ドル38セント。
2007年5月には123ドルを付けていたので、当時に比して87%も下落。
CDSも252BPまで上昇。
下記は2月9日のFT記事に掲載されていたCDSのチャートです。
ドイツ銀行の永久劣後債(junior subordinated perpetual bonds)のイールドは 7.5%(20%の価格下落)となりました(『こちら』)。
この永久劣後債は、ココ(CoCo; contingent convertible bonds、もしくは contingent convertible capital instruments)と呼ばれているもの。
発行者である銀行に課せられた資本規制を満たすために創られた債券のため、銀行の資本が不足した場合には株式に転換されますし、銀行が利払いをしなくてもデフォルトにはなりません(性格上、かなり株式に近い債券)。
問題はこれだけの赤字決算をしたドイツ銀行がココの利払いをしなくなるのではないかといった各種の疑心暗鬼(『こちら』や『こちら』)が出てきて、それがCDSの上昇や株価下落に連鎖してしまったことにあります。
もっとも本日のドイツ銀行の株価は6.6%ほど上昇(NY時間11時15分で16ドル38セント)。
ドイツ銀行が自社の発行した社債を自ら市場で買い入れることを検討しているとのニュースが広まったためです。
しかし対象となる債券はCoCoではなくsenior debt のよう。
いずれにせよ、今後の状況を注視していくことが必要です。
(Hidetoshi Iwasaki’s Blog)