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Jacksonian Politics とトランプ大統領リスク

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はじめに いま窮地の中のトランプ氏

就任100日というハネムーンの終わりを目前にして、なおトランプ政権への不信感は深まる状況にあります。これまでトランプ氏が大統領として執る行動様式に見る論理の欠如、それらが齎す結果としての政治の現実と、選挙中の声高に叫んできた公約との落差に、彼の大統領としての資質に疑問ありと、批判の高まるなか、4月1日付The Economist誌はその巻頭言で ‘The Trump presidency is in a hole . That is bad for America – and the world’とトランプ政権を極めて厳しく評する処となっています。そんな折、手にしたWalter Russell Mead, Professor at Bard Collegeの論考「Jacksonian Revolt」(米Foreign Affairs3月号)は、トランプ革命がなぜ起きたか、彼を支える草の根の思想運動がどこにあるか、が解説され併せて、これからの世界経済の戦略の在り方を問うという、興味深いものでした。

そもそも、英国のEU離脱もそうですが、グローバル化を活かしながら繁栄してきた米国ですが、その結果は経済格差拡大と云う社会的矛盾を晒す処、そうした繫栄から取り残された人たちの声が政治批判となって、それがアメリカン・ポピュリズムを生み、トランプ氏はこれに乗ることで大統領への道を拓いたと理解される処です。
が、そうしたトランプ氏の台頭をMead氏は、単に現状への批判行動と云うよりは、戦後米国の経済政策、とりわけ対外戦略に見る思考様式の変遷の中に捉え直すと同時に、トランプ氏が、これまで繰り返し公言してきた「America First」、「グローバル化拒否」をミッションとする背景を語ると云うもので、まさにトランプ現象の深部に迫ると云うものでした。

ただ、それでも過去70年で初めて米国民は戦後外交政策の核心にあった政策、理念そして諸制度をdisparageする、つまりそれらを貶めるような仁を大統領に選択したとも指摘するのですが、それこそが、彼の行動をして世界が一喜一憂する、いや一憂一憂する環境が演出される処となっていると云うものです。

そこで、今回は、まずMead氏が分析するトランプ氏の行動様式の背景を改めて読み解く事とし、以って一連の国際会議、G20会議、とりわけ米中首脳会談、更には日米新対話に映る新たな世界情勢に日本は如何に向かい合っていくべきか、考察したいと考えます。
(2017/4/26)

 

目   次

1.Jacksonian Revolt by Walter Russell Mead,
(1)戦後米国対外政策を規定した二つの思潮
(2)トランプ氏の変節が意味すること

2 .米中首脳会談と日米経済新対話に映るトランプ政権の生業
(1)米中首脳会談
(2)日米経済新対話

3.トランプ ‘ハネムーン’ 政治 総括
(1)トランプ氏の「就任100日行動計画」
(2)トランプ大統領リスク

おわりに:もう一つのフランス革命?

 

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