北朝鮮の核ミサイル開発の現況と2020年頃の見通し ―確証破壊段階に達する核戦力と深刻化する日本への脅威―
一〇月一〇日に行われた朝鮮労働党創建六〇周年記念日の軍事パレードでは、衛星画像から、近くのビョンヤン空港に約八〇〇のテント、七〇〇のトラック、二〇〇の装甲車が集結したとされ、過去最大規模であったと見積もられている[1]。
パレードでは、米本土にも届くとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN〇八が二〇一三年に続き登場し、金正恩第一書記は、「米帝国主義者が望むいかなる形態の戦争にも対処できる」と豪語した。
射程が二〇〇キロを超え、米韓連合司令部が移転する予定の平沢を攻撃でき、ミサイル防衛システムでも迎撃が困難とみられている、口径三〇〇ミリの大口径多連装ロケットも公開された。
しかし他方では、北朝鮮が発射試験に成功したとする潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は公開されず、一部で伝えられた、宇宙ロケットの発射も、四回目の核実験も行われなかった。金正恩も、演説の中で核、宇宙ロケットやミサイルには直接は言及しなかった。
このように抑制的であったのは、中国共産党内序列第五位の劉雲山党中央政治局常務委員を送ってきた中国に対する配慮との見方が有力である。これらの政治的、外交的な思惑とは別に、軍事技術面から見た、北朝鮮の核、ミサイル能力は、どのように評価できるであろうか。またそれらの能力に基づき、どのような核戦略を北朝鮮は採ろうとしているのであろうか…
(一部JBPRESSからの転載)