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‘危機’が変えた`世界の秩序’と, 日本の選択

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目次 

はじめに No country is an island               ——–P.2   
・安倍首相、緊急事態宣言
・米国政治のトレンド・シフト/ ・問題は`危機後’の対応

第1章 危機が齎すグローバル経済新常態        ——- P.4
1.今、世界経済は「緊急停止」
(1)進み出す国家主義への回帰  
(2)メルケル首相メッセージのこと
2.無極化に向かう世界

第2章 米国政治のトレンド・シフト、米大統領選の行方 ——-P.6
1.‘危機’ 対応に映る米政治のニュー・トレンド 
(1)米政権のコロナ危機対策
(2)危機が齎す米政治の左傾化
2.トランプ政権のresilience & vulnerability
(1)トランプ政権の‘強さ’と‘弱さ’
(2)今「断崖」に向かう米中関係 
・「国民とある」ということ
 ・J. バイデン氏、参上

おわりに  日本の選択                    ——–P.11
 ・終焉遂げたアベノミクス / ・‘危機後’の世界で日本は

———————————————————————-

はじめに No country is an island

・安倍首相、緊急事態宣言

3月末から始まったコロナ感染者の急増に照らし、4月7日、安倍首相は、緊急事態宣言を発出、同時に、事業規模108兆円の緊急経済対策を閣議決定しました。緊急事態宣言の‘狙い’は云うまでもなく、新型コロナウィルスによる肺炎感染拡大にストップをかける事、そしてコロナ対策が結果として齎している経済活動停滞、それと並行して深まる国民生活の不安解消への取り組み、です。が、感染拡大が今尚続く現状からは、イタリア等欧米で起きたような「医療崩壊」を防ぐためにも、この際は経済悪化をある程度覚悟してでも、コロナ封じ込めこそが最優先である事、云うまでもありません。

今、世界の総人口の4割が外出禁止の状況にあると伝えられています。この数字は感染拡大防止のため人の移動を規制してきた結果ですが、これが需要、供給両面での活動にブレーキをかけ、世界経済が急速な停滞状況を託つ証左とされる処です。

巷間、2008年の世界的金融危機、リーマンショックと比較して語られること多々ですが、リーマンの場合は、金融機関間の間でカネの動きが止まり、ヒトとモノの動きも止まったのに対し、今次コロナ危機は、感染拡大防止策によってヒトとモノの動きが止まり、それがカネの動きを止めるまさに、危機発生のプロセスが逆流しており、しかも大企業のみならず中小・零細企業をも同時に巻き込み、事態は複雑化している点で大きく異にする処です。

つまり、リーマンの場合、大幅な金融緩和や金融機関への財政資金の注入でカネの動きが回復し、ヒトやモノの動きも戻ってきたのに対し、今次危機の場合、各国で利下げや収入を失った家計への融資や財政資金による支援など打ち出されていますが、カネを動かしても外出規制など活動が制限されている間はヒトの動きは戻らず、危機構造が複雑化している点で、実体経済の回復は相当遅れるものと見ざるを得ません。因みに、4月14日、IMFが発表した2020年の世界経済の成長率見通しでは、マイナス3.0% に引き下げています。

この際は、何としても新型コロナウイルス撲滅が第一ですが、これが目に見えないウイルスとの闘いとなる点で、一国だけでは対処しきれず、国際間の連携が不可避となる処(注)、想起するのはThe Economist , 2007/12/1 の巻頭言No country is an island(如何なる国も、孤島では在りえない)です…

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