世界はGlobal Supply Shocks、企業はNew Mantra
はじめに Japanification
・日本型景気後退に向かう? グローバル経済
8月28日付け英紙 Financial Times は`Investors fear Japan’s stagflation malaise is spreading globally’ と題して、世界経済は今、日本が過去30年にわたり経験してきた今に及ぶ経済の停滞、異次元と云われた金融刺激策にもかかわらず、デフレと弱々しい経済成長を余儀なくされてきた日本型stagflationに向かい出したようだ、Japanification in action と、紙面一杯を飾る特集を組んでいました。それより先、8月17日付けThe Economist誌の巻頭論考では ‘Market in an Age of Anxiety’ と題し、債権市場の長・短逆転の動向に注目した投資家たちが、世界経済の行方、景気悪化に身構える様子を伝えていたのです。
つまり、米国債市場では10年物利回りの方が3か月物利回りよりも低い「逆イールド」が発生していることです。逆イールドは景気後退の前兆とされる特異な現象です。不安感が表面化しているのは国債市場だけではありません。為替市場では、資金の安全な逃避先とされる米ドルが多くの通貨に対して値上がりし、金地金も2013年4月以来、6年ぶりの高値をつけています。価格が逆方向に動くことが多いドルと金、これがいま同時に上がるのは異例のこととされる処、これが意味することは、ドル高を跳ね返すほど安全資産として金への投資需要が強いと云う事でしょうが、要は市場の不安心理の強さを裏付けると云うものです。加えて米国とイランの近時の対立は、国際情勢への大きな不安要因となってきています。つまり、景気はいつ悪化してもおかしくない様相です。金利がすでにかなり低いことから(注)、次の景気悪化に対抗する手段は限られている処、投資家たちの間では世界が「日本化」しているのではと、その恐怖感すら伝わる処です…