「投資」を考える② 勝者の農業 米国、果樹園経営からの報告
日本の耕作地の総面積は約454万㌶だそうだが、その多くの部分が低稼働または不採算で、政府の 保護なくしては維持不可能だ。これらの農地所有者には、これまで減反などでさまざまな政府補助金が 支払われてきたが、その金額は農家への戸別所得補償制度だけで2012年度は7000億円を超えた。 こうした補助金制度も将来的には維持不可能となろう。
経済のグローバル化は必然的に「勝者」と「敗者」を生む。日本の農業の中でも稲作のほとんどはこ の「敗者」に入り、この敗者を守るための関税が、環太平洋連携協定(TPP)交渉を暗礁に乗り上げ させる大きな要因の一つにもなっている。一方、保護されている農村も魅力的な職に欠け、高齢化・過 疎化が進み、地域経済は脆弱だ。今後、日本の6割の地方で人口が半減し、税収減により現在の市町村 制度は維持不可能になるといわれている。
この問題の根本的対策は、不採算農業を「グローバリゼーションの勝者」に切り替えることだが、そ れには稲作に代わる「勝てる農業」が必要だ。本稿では、化繊という「イノベーション」に負け衰退し た米国の綿花生産地域が、高収益のナッツ産業への切り替えにより「グローバリゼーションの勝者」と なったことを紹介し、日本の農地復興政策立案の参考に供したい…。