成長戦略を活かす「リスク・マネジメントと保険の手配」(その2) 森島知文
成長戦略を活かす「リスク・マネジメントと保険の手配」(その2)
2014/7/1 森島知文 |
アベノミクスでデフレ時代に凍結されていたベースアップもやっと実現した日本企業において、マーケットはもはや国内より海外に活路を見出さざるを得なくなっているようだ。そうなれば、世界のライバル企業と伍して行くためには「リスク・マネジメント」に鈍感ではいられない。 1. リスク・マネジメント戦略
東日本大震災において、日本の三大ビール会社の工場が被災した1か月後に発表された損失(特損)と復旧見込みをまとめたのが下図である。 <「リスク・ファイナンス」プロセス>
2.自家保有の代替手段としてのCaptive Program 【キャプティブ保険会社設立/レンタ・キャプティブ利用の主な理由・目的】としては、 等考えられており、世界では、6,000社以上の企業が活用しているCaptive Programが、日本企業においては大企業で僅か100社以内に留まっていることが不思議でならない。 <参考>日本の主なキャプティブ設立会社 Captiveの発祥地は、日本からはかなり遠い大西洋上に浮かぶTax Heavenの島・バミューダであったが、今や日本企業/日本人には馴染みの深いHawaiiやSingapore並びにMicronesia が数々の特典を設けて熱心に日本企業のCaptiveを誘致している。 当然、Captive化に向けては、下記の点に留意しながらFeasibility Studyが必要なのは言うまでもない。 今や、従来にないリスクが顕在化してきており、その対応策について幅広く選択肢を持つ必要に迫られている日本企業も、当該Captive Program乃至Rent A Captiveの検討の時期に来ているのではないかと思う次第である。 3. 保険手配の工夫 - 高額免責設定による巨額危険への保険対応 上記共同保険方式に対して、Layer方式(リスク引受を横割り=積み木方式)での引き受け方式が欧米では一般的に採用されている方法である。これに、高額免責を加味することによって、高額なHigh Hazard Riskに対しても、妥当な保険料で無理なく保険設計が可能となる。 日本企業も、下記世銀レポートにもあるように「保有」を上手に組み合わせた「最適な保険プログラム」の構築を目指して欲しいと願って止まない。 Combining insurance, contingent debt, and self-retention is an optimal corporate risk-financing strategy 保険と緊急災害融資と自己負担額の組み合わせこそ最適な企業リスク・ファイナンス戦略である 以上 |