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「投資」を考える⑩ 「非営利」「非公開」「一代限り」という生き方 日本では公開する魅力が減少

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第2次安倍内閣が誕生してから、日本政府の株式市場への介入には目にあまるものがある。まず市場 では「5頭の鯨」なる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀、郵貯、簡保など政府機関 による株式買い上げが進み、これらの政府機関がこぞって日本株の最大の所有者になってしまった。加 えて、昨今は「株主資本利益率(ROE)を上げろ」「社外役員を増やせ」「女性執行役員を増やせ」「賃 金を上げろ」などなど、政府の企業経営に関する口出しがおびただしい。また民間部門も民間部門で、 こうした政府の発言に反論することなく、恭順の意を表している。
筆者からすれば、「民間は民間。俺は俺。どんな経営をしようと俺の勝手。政府につべこべ言われる 筋合いはない」と突っぱねたい。日本で公開企業になるということが、これほどに政府の介入を受け入 れなければいけないものなら、自分自身の経営哲学を貫こうとする者にとって、公開する魅力はますま す減少する。公開株式市場自体が、株価の人為的な高騰とは裏腹に、まったく魅力を欠くものとなって しまった。本稿では、「公開企業」とは異なる生き方を「非営利」「非公開」「一代限り」という概念か ら論じ、企業活動や経済的営みとは、何も公開企業によってのみなされているのではなく、また、公開 企業になるだけが発展への「一本道」ではないことを、しっかりと確認したい…。

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