名取 はにわ 日本BPW連合会理事長、元内閣府男女共同参画局長
片岡: 今月のインタビューは、名取はにわさんです。本日はジェンダー・ギャップの問題についてお伺いしたいと思います。宜しくお願い申し上げます。
名取: ジェンダー・ギャップ・ランキングによると、日本は世界145か国中、101位です(2016年10月26日公表、日本は111位)。まだ30位とか40位とかであれば、頑張ろうとなるのですが、ここまで悪いと、皆、関心を持たなくなるし、やる気もなくなってしまうようで、これが大変な問題です。例えば、女性の平均賃金が男性より低いのは残念ながら世界共通ですが、日本の格差は大きい。私は国連でOECDの幹部がワースト1コリア、2エストニア、3ジャパンと、何度も発言するのを聞いて、本当に恥ずかしかったです。
女性が男性と同じ金額を手にするには、何日か余計に働く必要があります。「男性の1年より余計働いて、女性が男性1年分の賃金と同額を手にする日、これを、BPWは「イコール・ペイ・デイ」としておりまして、各国の仲間が知恵を絞ってキャンペーンを行っています。 日本は、最新のデータでは2015年1月1日に男女が働き始めて、男性が1年間で手にした金額を、女性は2016年4月10日まで働いてようやく手に出来ます。しかし、こうした数字を見ても、ショックを感じない人も多い。実際、このような男女格差を示す指数はいくつかありまして、その一つを、かつて政治家にお見せしたら「日本がそんなに低いはずはない。計算の方がおかしいのでは」といわれ、バックデータをお示ししたこともあります。
これは日本の女性達が活躍できず、また、活躍してもきちんと評価されていないことなので、世界は、日本の経済的な面からも心配しているのですが、当の日本人はあまり関心がありません。人口減少時代に突入した日本は、労働力不足が起き、移民の受け入れなども議論されています。そうした中で、日本には実に300万人を超える女性が就業を希望しています。しかも、彼女たちの多くは高い教育を受けた優れた人材です。これほどの人材のストックを国内に抱える先進国はなく、日本は OECDから「日本の女性の能力を浪費する社会」と言われています。ラガルドIMF専務理事も「女性は日本の潜在力。働く女性を増やせば、日本経済がよくなる」と述べています….