右脳インタビュー 岩村充(2) 早稲田大学大学院教授 元日本銀行企画局兼信用機構局参事
片岡: 今回のインタビューは、前回(9月6日)に続き、岩村充さんに、日本銀行の「総括的な検証」(9月21日)についてお伺いします。
岩村: 「総括的な検証」については、マーケットの人たちも色々な感覚を持ってみており、中には、「何をいまさら」、「自己正当化以外の言葉がない」と本当は腹立たしく思っている人も少なくないと思います。細かい点でも色々あって、例えば、長期金利をターゲットの対象にしていいのかという問題もあります。うまくいきにくいし、うまくいかないからといって買い続けると、そのリスクはとても大きい…。
その一方で、今回発表された『「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証【背景説明】』は、分析という意味ではとても良いものです。「需給ギャップは長期平均水準であるゼロ%近傍まで改善」「日本の経済・物価は好転し、デフレではなくなった」と分析し、「2%がうまくいかなかった」ことも認めています。その上で日銀は、2%の目標のために何としても金融緩和を続け、長期戦も辞さないとしています。そこには、「デフレでなくなっているのに、なぜ2%のインフレ目標を維持しなくてはいけないのか」ということが書かれていません。今後、日銀は、この問いに答えていくことになるでしょう。そして、それは重要で建設的なことです。