丁半どちらかに賭けるようなことはしない
サイコロを振って奇数が出るか偶数が出るか、確率は50%です。
有能な投資家は50%の確率に賭けるようなことはしません。
他の人に見えないものを見ることが出来て確率60%と思えば話は別ですが、50%で賭けるのは博打です。
英国によるEU離脱について、事前の日本の報道では、「離脱はないだろう」とのニュアンスの報道が多かったように記憶しています。
しかし直前まで欧州にいた私は正直分からない(五分五分)と書きました(『こちら』)。
こうした状況下でどちらかにベットするという有能な投資家はいません。
一部メディアでは「ジョージ・ソロスは今回の英国によるEU離脱を当てた」と報じられましたが、これは必ずしも正確ではありません。
彼は、
「もし英国がEUを離脱すればポンドは対ドルで15~20%も下落することになるだろう。
そして離脱が判明する6月24日(金)は Black Fridayとして人々の記憶に残るだろう」
と発言したのです。
結果は、1ポンドが1.49→1.19ドル(20%の下落)になることはなくて、今のところ1.33ドル(11%の下落)でとどまっています(日本時間7月1日午後9時43分現在)。
しかしソロスが述べたように、「英国によるEU離脱」は、たしかに Black Friday に近いインパクトを人々の脳裏に焼き付けました。
ところでソロスが運用する Soros Fund Management の今年3月末時点での運用状況は5月16日(月)付にて政府に報告され、その内容が報道されています。
これを見ると、ソロスは今回の英国によるEU離脱にかけてポジションを取っている様子は見受けられません。
もしもソロスが英国によるEU離脱を読み、それに賭けたというのであれば、ソロスは大胆にポンドをショート(ポンド売り)したはずです。
ところが実際に彼が行ったのは、「米国株の売り」と「金(および金関連株式)の購入」です。
50%の確率でどちらに転ぶか分からない「人々の行動」に賭けるようなことはしなかったということだと思います。
詳しくは『こちら』の記事をどうぞ。