プライマリーディーラー
日銀が保有する国債の残高は300兆円を超える(『こちら』)。
日本経済がデフレから完全に脱却し成長軌道に乗れば、いずれ政府の債務も減っていくはずだ。
そうすれば、日銀保有の国債残高もやがては減少していくはず・・。
しかしこうした政府・日銀の「出口」に関する見通しは画餅ではないか。
であれば、むしろ日銀が保有する国債を、政府への「無利子・無期限の預け金」に切り替え、事実上、消却したらどうかとの案が出始めている。
例えば英国の元FSA長官、アデア・ターナー氏は、6月7日付の日経の経済教室に寄稿し、この種の施策を提案。
一定の枠組みのもとに規律ある消却を行うべきであり、さもないと「いずれは無節操なマネタイゼーションを実施することになる」と論じた。
こうした消却論には賛否両論があるだろう。
しかしそろそろ出口戦略を考え始めないといけない段階に来ていることは確かだ。
「黒田バズーカ第一号」が放たれたのが、2013年4月4日。
あれからもう3年以上も経過している。
その間、日銀が保有する国債残高は3.5倍に膨れ上がった。
リスクだけが増加して戦況は改善しないにも関わらず、出口を考えずに更に突っ込むというのは如何なものだろうか。
さて、そうした中で三菱UFJがプライマリーディーラーの資格を返上するとのニュースが入ってきた。
現在のマーケットでは銀行が落札した国債は、より高い価格で日銀に転売されることが多い。
であるから、なにも今すぐ資格返上する必要はないのかもしれない。
しかしこの三菱UFJの動きによって、黒田日銀が6~7月の金融政策決定会合でマイナス金利の「深堀り」を決定しづらくなることだけは確かだろう。