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小松秀樹
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (13): 子規の最期の日々
多くの日本人が死生観を表現してきた。日本人の死生観はさまざまである。必ずしも「死生観」と正面から題して記述されるわけではない。島薗進は死生観を生みだす様式として以下の5項目を挙げた(『死生観を読む』朝日新聞出版)。 1.
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (12):卒業論文にみる死生観
ターミナルケアでの齟齬 『地域包括ケアの課題と未来』で、小野沢滋医師は、入院中の決定が本人と近親者に与える影響を書いた。人は誰でも人生の終末期に大きな病気で入院することになる。高齢になればなるほど、病気は治癒しにくくなる
地域包括ケアの課題と未来 (3) 人口の変化と社会保障
少子化 今後の日本を考える上で、最も重要な統計が、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口です。出生3条件、死亡3条件、すなわち3×3、9種類の条件で、100年後の2110年までの推計値が公表されています。 日本の最大
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (11): 急性期病院からの退院と自治体病院建設
急性期病院が退院を急がせる理由 亀田総合病院の藤田浩二医師に、急性期病院からの退院について書いてもらった。急性期医療とは、藤田医師が述べたように、病気の発症から、進行を止める、あるいは、回復が見込める目途を付けるまでの医
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (10): 情報ネットワークシステムについて
亀田総合病院は日本で最初に電子カルテを導入した。亀田信介氏はその院長である。『地域包括ケアの課題と未来』で、以下のような主張を展開した。電子カルテやアプリケーションを共有すると、地域での医療に関する情報のやり取りが容易に
計画経済医療による首都圏の医療・介護危機
首都圏で、75歳以上の高齢者人口が急増しつつある。筆者は、10年先、医療・介護サービスの深刻な提供不足が生じるのではないかと危惧している。場合によっては社会不安になりかねない。具体的には、要介護者の退院先が見つからなくな
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (9): 小松俊平「規格」について考える
2012年、筆者が安房10万人計画を提唱した直後、ケアの水準を向上させて地域優位を作るのに、規格が有用ではないかという意見が出てきた。以後、粘り強く議論を積み重ねてきた。規格とは、合理性に基づく標準化、あるいは、非権力的
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (8): 鵜尾雅隆「財政難の中での寄付の役割」に関連して
鵜尾雅隆氏は日本ファンドレイジング協会の代表理事であり、アメリカの寄付集めのための大学院を卒業された寄付の専門家である。日本にNPOのための寄付市場を整備すべく活動してこられた。日本のNPOは1998年のNPO法成立で大