2019年、世界の行方を測る‘政治と産業’2元論
― 目次 -
はじめに 今、世界が対峙する二つのテーマ ————- P.2
- テーマその1:世界の行方とトランプ政治
- テーマその2:新産業革命
第1章 トランプ政治の行方 ————- P.4
1.米経済の現状とトランプリスク
・Trump vs Economy
2.次期大統領選、トランプ氏の可能性
・トランプ氏の行方
第2章 第4次産業革命始動 ———— P.8
1.二つの進化が示唆する新産業革命
(1)資本主義のコンセプトをも変えるAIの進化
・AIとAI技術
(2)「5G元年」を告げる米CES(家電・技術国際見本市)
2.検証:変革への対応の現場
(1)`Tech tinkers under the hood’
・自動車会社トヨタの場合
(2)5Gと政治リスク
おわりに 平成という時代の終わりに思う ———- P.12
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめに 今、世界が対峙する2つのテーマ
- テーマ その1:世界の行方とトランプ政治
1989年11月9日、東西冷戦の象徴、ベルリンの壁が崩壊、翌12月のマルタ島での米ソ両首脳による冷戦終結宣言がなされ、爾来今日まで、世界は米国を要とし成長発展してきました。その冷戦終結から30年、くしくも平成の終わりを迎える今年、2019年は、「新冷戦」の足音の高まりを感じさせられながらの幕開けとなりました。新冷戦とは大方が見るように、二大経済大国米中の貿易戦争をトリガーに、ハイテク等に絡む覇権争いが齎す新たな地政学的変化を意味する処、以って世界経済や金融市場の大きな不安要因となってきたと云うものです。
では、今後の世界の政治経済の行方はどのような展開と見ていくべきか、そのカギは?ですが、何としても世界が関心を集めるのが就任2年を終えた米大統領トランプ氏が、2020年の次期大統領選を視野に入れていかなる行動にでるか、その一点にありと思料する処です。
周知のとおり、過去1年で世界の様相、秩序は、すっかり変貌してしまいました。その変化は云うまでもなく、「米国第一主義」と「偉大な米国の再生」を旗印とする彼の言動が齎した結果と云うものです。因みに先の1年間、G7では6対1の「1」に、更にG20でも19対1と自らを「1」に置き、更には米国の利害に絡め自由主義、国際協調を否定し、友好国とも対峙する姿勢を頑なにする処、目下の米中貿易戦争も、元を質せば、そうした文脈において、トランプ氏が中国に仕掛けた戦争です。
いまや世界を混迷に貶めてきたトランプ大統領、その彼と世界は、暫し何が起ころうと、向き合っていかねばなりませんし、少なくとも次期大統領選(2020年11月)を背にした彼がどのような行動に出るか、関心の高まる処です。つまり世界のトレンドを規定する、そのカギはトランプ政治と云うより、ずばり「トランプ」にある処です。もはや国際社会は米国の軌道修正を粘り強く説き続けていくほかない、そうした思いこそが問題と思う処です…