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ひな型文化を排し中身のある企業行動を ~東洋ゴム、東芝を他山の石として~

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体裁だけ整えればいいという慣行が如何に日本の会社をダメにしてきたかという点について、今回の東洋ゴム、東芝の事例を他山の石として日本の経営者はもう一度真摯に考えてみるべきだと思います。

 

次の文章はある企業グループの企業行動憲章です。
誠実
1)法令・規制・標準及び社内ルールを遵守します。
2)自由な競争と公正な取引の原則に従い、事業活動を行います。
3)政府・行政機関とは、健全な関係を維持します。
モノづくり
4)高い品質と安全性を有し、社会に役立つ製品とサービスを提供します。
5)全ての従業員に安全で健全な職場環境を提供します。
6)職場において、お互いの多様性を尊重します。
環境
7)環境に配慮した事業活動を行います。
社会
8)ステークホルダーと透明で公正なコミュニケーションを実施します。
9)地域の経済と社会の発展に貢献します。
10)人権及び各地域の文化、慣習を尊重した経営を行います。
どこの企業グループでしょうか。その名前を聞くと読者の方は驚かれると思います。昨日(6月22日)に社外調査チームの最終報告書を公表した東洋ゴムグループです。日経新聞の報道に拠りますと、「免震ゴムの性能不足は昨年夏から経営陣に報告されていて、昨年9月16日午前の会議では信木明会長(当時は社長)らが出荷停止や国土交通省への報告を決めた。しかし、午後には性能評価のやり方を見直せば認定基準に達し性能不足にならないとして、これを撤回していた」とあります。また、「東洋ゴムは山本社長が正確に事態を把握したのは1月末だと説明し」と虚偽の公表を行っていることを報道しています。会長、社長をはじめとする会社のトップが、上記企業行動憲章の一字一句に違反している行動をとっていることを示しています。
東芝のCSRの中にももっと立派な内容の東芝グループ行動基準が記載されており、その冒頭部分には「公正、誠実で透明性の高い事業活動を行う」という言葉が掲げられています
ほとんどの企業はCSR(企業の社会的責任)について企業の考え方や駆動基準をホームページ上で公表していますが、上記のような事例をみるとほとんどの場合、このような中身のない薄っぺらな言葉の羅列ではないかと疑いたくなってしまいます。
また東芝の場合は、会計不正にかかわる疑惑ですので、財務報告に係る内部統制に対する経営者の評価である内部統制報告書の虚偽記載の疑いにも関連してきます。この内部統制報告書についても、どの会社もその内容はひな型的なもので、内部統制の評価についてどれだけ経営者が真剣に考えているかということが伝わってきません。
このような体裁だけ整えればいいという慣行が如何に日本の会社をダメにしてきたかという点について、今回の事例を他山の石として日本の経営者はもう一度真摯に考えてみるべきだと思います。また、コーポレートガバナンス・コードに対する対応においても、このようなひな型文化を排除して中身の濃い説得力のあるものにして欲しいと思います。
(一般社団法人 実践コーポレートガバナンス研究会ブログより転載)
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