ビジネスにおけるリスクの早期警戒とインテリジェンスの役割
1. はじめに
インテリジェンスは収集された膨大とも言える情報から生成される優れた意思決定に資
する情報と理解すべきものです。顕在化あるいは潜在的な情報を元にリスクが特定化され
事前に察知することが可能であるならば、より正確なリスクの具体的な内容について知り
得ることが出来ます。しかし、多くのリスクは顕在化せずに潜んでいる場合が多く、我々
が普段から接している出来事あるいは現象を見ている限りでは、リスクを特定化すること
は一般的には難しい場合が多いと思われます。ビジネス環境に応じた情報を収集すること
で、リスクをより顕在化させるためには、情報収集するだけでは無くインテリジェンスを
生成するためのプロセスを理解することでリスクを捉えることが望ましいと考えます。
ここでは、単なる入手された情報を元にリスクを特定化するのではなく、収集された情
報から生成されるインテリジェンスをクリエーション(知力・想像力の産物)することで
リスクを特定化するために必要な知識と考え方について概説します。図1は、多様な分野
にまたがるインテリジェンス領域を区分したものです。インテリジェンスの基本はソーシ
ャル・インテリジェンスと呼ばれる社会全体を対象にしたものです。リスクを特定化し素
早く処理するためには、インテリジェンス活動をどのような視点で展開するかが重要です。
言い換えれば、インテリジェンス活動は、リスク・マネジメントに含まれるものと考える
ことができます。図 1 の図中にあるそれぞれのインテリジェンス領域に関する定義は、3.2
節にある表1で示します。図 1 で示されているイッシュ(Issue)・マネジメントとは、イン
テリジェンス研究の分野では危機管理として捉えています。