Home»オピニオン»事業・技術・知財の統合戦略の解説(その1)

事業・技術・知財の統合戦略の解説(その1)

0
Shares
Pinterest Google+

知財戦略は事業・技術・知財の統合戦略の一部として位置づけなければなりません。なぜならば、事業戦略も技術戦略も知財戦略も顧客や社会に対して価値をもたらすために存在している企業の計画だからです。

事業・技術・知財の統合戦略の実現のためには、事業と技術と知財の共通要素であって重要なものに着目した表現基盤が必要となります。

そのような表現基盤は、重要な顧客価値への貢献度および競争優位への貢献度の高い「優先順位の高い機能」となります。

なぜならば、事業活動,技術活動,知財活動はそれぞれ次のように「顧客や社会にとって価値をもたらす機能」に関する活動だからです。

1.事業活動は、顧客や社会に対して価値をもたらす機能を、商品やサービスを通じて、競争力と成長性を持って供給するという活動である。
2.技術活動は、顧客や社会に対して価値をもたらす機能を、技術を用いて商品やサービスの中に競争力と成長性を持って実現する活動である。
3.知財活動は、顧客や社会にとって価値をもたらす機能の競争力を、知的財産権に関する手段を中心として強化する活動である。

事業・技術・知財の統合戦略を記述した書類を「ビジネス創造戦略書」と名付けます。今回は、シリーズの第1回目としてビジネス創造戦略書のサンプルを次の図1から図4に示します。

ビジネス創造戦略書の作成は、次の順に行います。

顧客⇒優先順位の高い顧客価値⇒優先順位の高い機能1と機能2⇒多段階に設定した機能1の各レベルの内容と、機能2の各レベルの内容⇒状況の記述の舞台⇒状況の記述の内容⇒目標位置と経路⇒市場拡大と利益確保を両立させるビジネスモデル⇒ブルーオーシャンを実現するための飛躍したイノベーションの発想(発明、ビジネスモデル)の内容⇒イノベーションの想定される阻害要因と対策

事業・技術・知財の統合戦略の作成は「状況の記述の内容」を作成できることで具体化していきます。そのため、状況の記述は事業と技術と知財の共通の表現基盤である「優先順位の高い機能」で張られた空間である「状況の記述の舞台」で行なわれることが決定的に重要です。そして、この「優先順位の高い機能」の選択を誤ったり、表現の粒度が不適切であるとその後の戦略が的外れになってしまいますので、優先順位の高い機能の選択と表現は不断に見直しながら修正していくことが必要です。

「状況の記述の舞台」の上には、自社や他社の現在の保有する特許権、技術、商品を記入します。それらの将来の変化の方向も記入します。さらにはそれらの間の包含関係、補完関係、対立関係、競合関係なども記入します。関係する標準規格や規制法についても記入します。標準規格は普及のための高速道路のようなものであり、規制法は立ち入り禁止区域のようなものでもあります。以上のような関連要素を「状況の記述の舞台」の上に記入した結果は、優先順位の高い機能1と機能2で張られた空間における戦略地図となります。

この戦略地図は最近の用語では「IPランドスケープ」が最も近いと思われます。

図1は地方創世のために対象とする地場地域の設定から始めていますが、地方創世とは無関係な場合には地場地域の設定を省略して顧客設定から開始します。

顧客設定以降の設定方法などについては、事業・技術・知財の統合戦略の解説(その2)以降で詳しく説明します。

図1

図2

図3

図4

Previous post

「我が国の歴史を振り返る」(33) 「大正時代」が“残したもの”

Next post

COVID-19(Coronavirus Disease 2019)について(3)治療: