Home»blog»政治の安定に力を

政治の安定に力を

0
Shares
Pinterest Google+

23日に実施されたイギリスの国民投票で、同国のEU離脱が決まり、世界経済は大きな混乱にさらされています。

直後に私はツイッターで、「安倍総理の消費増税延期は大正解だった。これから難しい経済運営・対外対応が必要となるが、どう考えても今の野党にその力量があるとは思えない。」と書き込み、多くの支持をいただいています。

前回のこの欄で書いたとおり、伊勢志摩サミットでは世界経済の不透明性の中で適時に全ての政策対応を行うことが合意され、日本は総理の「新しい判断」のもとで消費税増税の延期を2019年10月まで行うことが決まりました。
イギリスのEU離脱は、事前に各国の働きかけやコックス議員の殺害などの影響で「残留派が少し有利」と想定されていただけに大きな衝撃を世界市場にもたらし、まさに円高や株安の波にさらされている日本が、消費増税によるさらなる経済危機をもたらすことはできません。

この数日、沢山の内外の経済メディアから「日本は今後どう対応すべきでしょうか」「参院選にはどういう影響が出るでしょうか」という取材をいただいています。

前者に関しては、短期的対応、中期的対応、長期的対応が必要でしょう。すなわち、短期的には過剰な投機による混乱を避けるためのドル供給や円売りなどの介入を、もし必要であれば世界他地域の中央銀行と連携して行うことです。ただし相場の状況に応じてです。前回日銀の金融政策決定会合で見送った追加緩和についても、再度検討の俎上に上がることでしょう。中期的対応としては、補正予算などの経済対策です。急速な需要の落ち込みを防ぐため適正な規模とすることは避けられません。そして長期的には、世界の安定に資するための取組みを、日本もしっかりと貢献して行うということです。イギリスでは残留派の多いスコットランドが再度独立の動きを見せており、またEUでは他の国に離脱の連鎖に向けた動きがあるとも報じられています。こうした世界経済の不安定化の動きを食い止めるグローバルな取組み・外交を展開しないといけません。日EU間のEPA交渉に与える影響の精査も必要でしょうし、イギリスそのものに対しても連携を切らすことがないよう、その外交にしっかり注目をしていく必要があります。

TPP交渉や安全保障の確立が持つ意味も重くなると思います。アメリカの大統領選を控え、まだ不安定要因はありますが、しっかり対応していきます。

しかし、今回の件で専門的事項についての国民投票の問題点が明らかになったと言えるのではないでしょうか。市民運動家はともすると民意を口にしますが、今回のイギリスでの事例では、かつての大英帝国に郷愁を持つ高齢者層と、現在の状況を見る若年層に投票行動のギャップが見られたということです。こうしたテーマについては、慎重に検討するための代表を通じて決めるのがふさわしいのではないかと思いますし、わが国の憲法審査会で国民投票制度の拡大について特に野党が力を入れていますが、警鐘を鳴らすものと言えそうです。
メディアの「参院選への影響」についての質問に対しては「一票の重みをかみしめていただくようになると思います」と答えています。

野党は今回の株安で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が資金運用を株式にシフトしたことによって巨額の損失が生じていると与党を攻撃していますが、これまた経済を知らない主張です。日本の国債は今大きく金利が低下していますし、世界の資金運用は中長期的な実績を目指すものでも、利回りとリスクをきちんと数理計算して最適のポートフォリオを組むのが当たり前です。これから投資をどうすべきかの決定も、GPIFに関しては、専門家の合議によるプロセスを踏むよう改革されたところです。一時的な損が出たといっても安倍政権になって既に37兆円以上の運用益が出ていることに鑑みれば、批判は一面的なものであることがお分かりだと思います。

つくづく感じるのは、今ここで、政治の安定を損ない、経済的に専門性を欠く野党に選挙で負けるわけにはいかないということです。序盤戦優勢が報じられていますが、気を引き締めて最後まで戦い抜くことをお誓いします。埼玉選挙区では定数3のうち自公与党で2議席を得ることを目指すとともに、他の接戦地域に私も応援に出向いて参ります。

Previous post

英国EU離脱: ご破算の後に来るものは

Next post

香港を代表する企業 Li & FungのビジネスモデルをCITICは超えられるのか