戦後直後の混乱期における金融危機対策と財政再建
昨年9月30日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会で『戦後直後の混乱期における金融危機対策と財政再建』と題する資料が配られました。
このことが一部マスコミでややセンセーショナルに報じられています(たとえば『こちら』)。
昨年9月のものが「なぜ今になって」と疑問に思うところですが、マイナス金利にかこつけた論調となっているようです。
ところで、この資料自体は誰でもネットでダウンロードすることができます(『こちら』をクリックしてみてください)。
クリックすると、『戦後の我が国財政の変遷と今後の課題』と題する44頁にわたる資料が出てきます。
この8頁目が『戦後直後の混乱期における金融危機対策と財政再建』と題する資料です。
44頁にも及ぶ資料はけっしてセンセーショナルに取り上げられるべきものではなく、どの頁もいたって真面目な資料です。
参考になる頁も多く、これを機に日本の財政について学んでみたいという方にはお勧めです。
最後の頁は『論点整理』と題する「まとめの頁」になっています。
5つのポイントにまとめられていますが、このうちの下から2つのポイントを以下に転載してみましょう。
『・社会保障については、昭和36年の国民皆保険・皆年金制度の確立以降、国民生活の向上に大きく貢献してきたが、戦後70年を経て、弱者ととらえられていた高齢者像が大きく変わっている一方で、受益と負担のバランスが確保されない中で、現役世代、更には将来世代に財政負担が先送りされている。
団塊の世代が後期高齢者となり始める2020年代初めには人口構造が一段と高齢化することを踏まえれば、世界に冠たる国民皆保険・皆年金制度の持続可能性を確保するための制度の見直しが急務。
その際、社会保障制度は長期にわたるものであり、堅実な経済前提の下で、将来の人口動態や受益と負担のバランス等について長期にわたる見通しをもって改革を行うことが必要。
・社会保障以外については、戦後、経済社会基盤の充実等が図られてきており、人口減少や少子化等も勘案して、歳出抑制が必要』
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とくに最初のパラグラフの
『弱者ととらえられていた高齢者像が大きく変わっている一方で、受益と負担のバランスが確保されない中で、現役世代、更には将来世代に財政負担が先送りされている』
との指摘は重要だと思います。