フォースの覚醒
まだ観ていないのですが、カッコいいタイトルですね。
英語の「The Force Awakens」もなかなかのタイトルですが、下手に日本語に訳せば、「フォースの目覚め」です。
「覚醒」としたところがさすが・・。
これだけヒットしているので、ディズニーの株はさぞかし上がっているのだろうと思う人もいるかもしれません。
しかしどちらかというと下がり気味。
ディズニーの株については以前に会社四季報オンラインで少しだけ書いたことがあります。
『こちら』です。
そのときには詳しくは書かなかったのですが、
ウォルト・ディズニー社は年間営業利益147億ドル(1.8兆円)のうち、過半の53%を「メディア・ネットワーク部門」であげています。
この部門は、テレビ局とケーブルテレビから成り立っていて、ディズニーは米国3大ネットワークの1つ、ABCテレビを所有しています。
またスポーツ専門チャネルのESPNや、ディズニー・チャンネルなどのケーブルテレビも傘下におさめています。
実はケーブルテレビの上げる営業利益は68億ドル。
会社全体の46%にも達しています。
つまり、少なくとも現在のウォルト・ディズニー社を分析してみると、ミッキーマウスや映画よりも、スポーツチャンネルESPNの方が収益の柱になっているのです。
上述の会社四季報オンラインの記事には、ディズニー株を買い続けてきている私の知人のことを書きました。
もちろん彼もディズニーの収益の最大の柱はスポーツチャンネルESPNであることを熟知しています。
それでも彼は、「これから先、10年後、20年後のディズニーを支えていくのは、(スポーツチャンネルESPNではなくて)ミッキーマウスに代表される世界観が全世界に広まっていくこと」と信じています。
さて、そのミッキーマウスに代表されるディズニーの世界を昔からプロデュースし続けているのが、ディズニーランドやディズニーリゾートです。
ウォルト・ディズニー社という企業体で見た場合、この部分は「パーク&リゾート部門」と呼ばれていて、会社全体の営業利益の21%を上げています。
ちなみに東京ディズニーランドなど東京ディズニーリゾートには、米国のウォルト・ディズニー社は出資しておらず、ロイヤリティ収入を得ているだけです。
なお会社の第3の収益部門が、映画の製作および配給です。
社内では「スタジオ・エンタテイメント部門」と呼ばれていて、ここで上げる営業利益は会社全体の13%。
「アナ雪」の名で親しまれた「アナと雪の女王」の映画、そして今回の「スターウォーズ」などの映画の収益はこの部分に含まれます。
「スターウォーズ」のヒットはディズニーの株主にとっては嬉しいニュースですが、ディズニー全体からみると、全体の13%部分のなかでの話なのです。
ところで、ディズニー株ですが、11月には120.65ドルにまで値を上げていました(史上最高値)。
それが最近不調なのは、BTIG Securities のアナリスト、Rich Greenfield が「売り推奨」のレポートを出したからです。
彼が心配したのはスポーツチャンネルESPNの今後の収益性でした(『こちら』)。
12月17日の夜に米国で「スターウォーズ」が封切られ、翌18日にグリーンフィールド氏が売り推奨のレポートを出しました。
結果、この日だけで株価は4%も下落しました。
ディズニー株には更なる覚醒が必要なのかどうか・・・。
(Hidetoshi Iwasaki’s Blog)