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マイナス金利の影響で赤字

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LIXILグループは、従来予想の50億円の黒字を一転して変更。

2016年3月期の連結最終損益が200億円の赤字に転落したと発表しました。

日経新聞報道(『こちら』)によると、最終赤字となる原因は大きく分けて2つ。

そのうちの一つが年金関連の費用増のことです。(もう一つは不採算事業での減損)。

企業は将来支払う退職一時金や年金について、現時点で用意しておくべき金額を退職給付債務として決算上、認識しておく必要があります。

しかしながら丸々全額を現時点で債務として認識する必要はありません。

例えば20年後に300億円の支払いが必要になるケースを想定してみましょう。

もし仮にこれから先20年間、毎年1%で運用することが可能であれば、20年後の300億円を割引率1%で現在価値に割り戻し、これを債務として認識すればいいことになります(すなわちこの場合は、300億円÷1.01^20=246億円を債務として認識すればいい)。

ちょっとややこしいかもしれませんが、逆から見れば簡単です。

いま246億円のお金があって、これを1%で運用できれば20年後には300億円になるから、現時点では246億円を退職給付債務として認識しておけば、20年後に必要な退職一時金や年金に充てることが出来るということになります。

LIXILが赤字転落した要因の一つが、マイナス金利政策の影響で、この割引率が低下してしまったことにあります。

日経報道によると従来は1.6%であった割引率は、(20年物国債などの利回りを参考にして決められるため) 0.6%程度まで下げられたとみられています。

この結果、現時点で用意しておくべき退職給付債務が増えてしまい、赤字転落の一要因となってしまいました。

マイナス金利の影響が企業決算にネガティブに影響した例ですが、LIXIL以外にもこれから先、続いて出てくるようになると思われます。

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