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「新産業構造ビジョン」骨子(案)(2017年5月19日現在)について

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経済産業省の産業構造審議会総会(第20回)の資料が、本日(2017年5月19日)、公開された。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/020_haifu.html
http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_03_00.pdf

サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した世界を作ること、そのために日本の強みであるリアルデータについて、 リアルデータプラットフォームを作ることを戦略の柱にしている。

サイバー空間に必要とする情報には時々刻々と内容が変化していくリアルデータと、内容が変化しないか変化が遅い背景データがある。
リアルデータには、①物理状態情報(センシングデータ)、②権利情報、③マネー情報、④法律や契約などのルール情報、⑤各種操作の主体や客体を特定するIDおよび属性情報、 ⑥製品やサービスの設計情報や計画情報がある。

リアルデータプラットフォーム(センシングデータ流通市場も部品として含む)は、前記①~⑥のリアルデータをリアルタイムに高速に組み合わせて、フィジカル空間で人間の 介在のもとで実行していたのでは到達できないような最適な組み合わせを低コストに創造したり、最適なパラメータ調整のもとで連携した情報システムを動的に形成する。

この情報システムの動的形成を、Senseek(参考サイト5)をセンシングデータ以外にも拡張したデータフロー制御指令を用いて、サイバー空間内に実現できる。

データフロー制御指令は、サイバー空間内の各種存在の間の結合を動的に形成する指令である。
多数のデータフロー制御指令から成る指令群が、サーバー空間内に情報システムを動的に形成するのである。

もう少し具体的に説明すると、次のようになる。
人間またはAIまたはアプリケーションシステムが、まずは①物理状態情報(センシングデータ)を取得し、⑥製品やサービスの設計情報や計画情報を用いて、実行すべきアクション を決定しようとする。(参考サイト1,2を参照)
このアクションの決定にあたっては、⑤各種操作の主体や客体を特定するIDおよび属性情報を用いてアクションの主体と客体を決定しなければならないし、 そのアクションが、④法律や契約などのルール情報に適合するかどうかのチェックも必要となる。
さらには、そのアクションの主体と客体の組み合わせを可能とする権利が主体に存在しているかどうかや、そのアクションの実行に必要なマネーの流れを設定できるかどうかや、 マネーが存在するかどうかをチェックする。
チェックの結果、解決すべき問題が抽出されたならば、アクションの主体と客体と設計情報や計画情報の組み合わせと調整によって、問題解決策を練る。
これらの一連の動作を、高速に何度も行なって、関係する資源を最適に組み合わせ、最適なパラメータ調整のもとで連携した情報システムを、リアルデータプラットフォームを 用いて、サイバー空間中に一瞬で形成する。

実は、工場の製造ラインという限定された範囲については、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、数十年前からサイバーフィジカルシステムを実現していた。

(上図の出典: https://web.archive.org/web/20150322033906/http://www.omron-ap.com/service_support/technical_guide/plc/index.asp )

上図で言うと、Inside PLC(CPU Unit)がサイバー空間であり、PLCの外部がフィジカル空間である。そして、サイバー空間とフィジカル空間を結合するものが、Basic I/O unitおよび Sensor,Switch,Actuator etc.である。
Inside PLC(CPU Unit)内のCommon Processing(Self-Diagnosis)は、自己診断などの処理であり、前記したリアルデータプラットフォームが、②権利情報、③マネー情報、④法律や契約などのルール情報をもとに、 権利の観点、マネーの観点、ルールの観点からチェックをして最適な行動を実現しようとする機能に対応する。
Execute Programは、センサーやスイッチから得られる値が所定の条件を満足していた場合に、アクチュエータを起動するリレーをONさせる命令の集合となっている。 これは、前記したリアルデータプラットフォームが、①物理状態情報(センシングデータ)の属性情報が所定条件を満足していた場合に、⑥製品やサービスの設計情報や計画情報にセンシングデータを 与えるためのデータフロー制御指令を発することに対応する。
PLCでは、PLCサイクルごとに、I/O Refreshにてフィジカル空間の物理状態情報(センシングデータ)を取り込んで、サイバー空間であるInside PLC(CPU Unit)内で処理する。
処理結果としてフィジカル空間に対するアクションを決定し、次のI/O Refreshにてフィジカル空間に対する作用をBasic I/O unitおよびSwitch,Actuator etc.を用いて、与えている。

新産業構造ビジョンでいう「サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した世界を作る」とは、工場の製造ライン制御に用いられているPLCの仕組みを、IoTを用いて社会 全体に拡大するという事である。

これは、サイバー空間中に形成された情報システムが、フィジカル空間を高速に最適制御するというイメージである。 すなわち、そのイメージが、ブルースリーの動きである。「先の先」(参考サイト4)という動きである。

上記動画の出典: https://www.youtube.com/watch?v=IJGndrjP0i8&feature=youtu.be&t=77

そして、それらの最適な組み合わせを情報システムの制御のもとで、フィジカル空間に、人間またはAIまたはアプリケーションシステムが実現しようとしていた状態として、 現実化させる。
これを人間の介在なしに高速に実行するためには、サイバー空間での処理の大部分を人工知能に任せることが必要となる。
人工知能が作った価値の収益を人間が得られるような枠組みのもとで、人工知能に法人格を与えてAI法人とすることが必要となる。(参考サイト3)

日本国全体を1つの生物に例えるならば、日本国はブルース・リーのように、体も動きも最適化されて超高速動作する「超高速最適化システム」になるべきである。

【参考サイト】
1.特許第3312141号
http://www.patentisland.com/Commandbreakdown.pdf
2.特許第3800547号
http://www.patentisland.com/jpb_0003800547.pdf
3.IoT産業革命のために必要な、法人格を持ったAI
http://www.patentisland.co.jp/memo371.pdf
4.~「三つの先」~
http://www5b.biglobe.ne.jp/~karate/html/sub_html.htm/study-karate/study_3tunosen.htm
5.Senseek
http://www.patentisland.com/JPB_0005445722.pdf

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