パリ同時多発テロを考える
今回の惨劇は、シリア、イラクなど実質的な国家喪失、度し難い貧困・雇用問題、ヨーロッパ東西の確執の歴史、宗教対立の帰結である。
イスラム国という謂わばガン細胞に対し、米露仏などが空爆で報復を行っているが、これらの行動は抗がん剤投与以上のものではなく、更には陸上からの殲滅という摘出手術が必要であると専門家は言う。しかしながら、これらが行なわれたとしても、解決には程遠いであろう。
イスラム国など一部患部の摘出手術が成功したとしても、程なく第二、第三のイスラム国という不幸な発症は避けることができまい。
今、米露仏英間でこの問題をめぐる結束ができつつある。この機にこれら諸国は、中東イスラム諸国の善意の人々をイメージ上の対象として、難民問題への対応、宗教上の反差別、経済的自立支援を、武力攻撃と並行して、立ち上げるべきである。中東の歴史背景などに目をそむけるなら、解決は遠ざかるばかりであろう。
気の遠くなるような、世紀単位の課題であるが、今行われている軍事力というハードと、未来志向の難民対応、経済の自立支援などソフト面が、両輪とならなければならない。よもや対応を間違えて、来世紀に解決を持ち越すようなことがあってはならない。
パリの惨劇は、欧米を中心に、世界に対して、世界的結束と具体的対応を促しているように思われる。
無論大国の日本も例外ではない。