成長戦略を活かす「リスク・マネジメントと保険の手配」(その7) 海外で活躍する日本企業役員・従業員の安全対策 森島知文
国内需要の飽和から海外に活路を見出さざるを得ない日本企業、更にその展開先は米国等の先進国から新興国へと進展している。そこで注意を要するのが、当該地域に派遣される役員/従業員(家族を含む)の健康管理や安全管理であろう。滞在先の政治や宗教または習慣の違いから予想もしないさまざまなリスクによる事故やリスクに対する備えとして下記のような危機管理対策システムの構築が必需であろう。 1. 健康管理 2. 安全管理
このように誘拐事件やテロ事件が発生する度に、必ず企業の関係者の間から聞こえてくるのは、「あれは、××社特有の問題があったから狙われたのだ」、「あれは、○○個人に問題があって、狙われたのだ」という声。しかし、過去には犯行組織から押収された資料に複数の日本企業の名前が挙がっていたケースもあり、一概にその企業や個人特有の問題として片づけてしまうことはできないのではなかろうか? 「わが社だけは大丈夫」、「わが社には無関係な問題である」、「まさか自分が」という認識こそが大きな危険を招くといえるのではないだろうか? 特に、日本人/日本企業は事故や事件が起こった時には「何かしなければ」と防災意識が高まるのだが「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の特性か、しばらくして沈着すると「もう大丈夫」と結局何もしていなかったケースが多い傾向にて、どの企業も狙われる危険性が常に存在するということを認識した上で、海外安全対策/危機管理体制の整備に取り組む必要があると考えるのだが・・・、実際は自助努力によって実践的な対策を講じるのは現実としてはなかなか難しく、たとえば、次のような立場や状況に置かれている担当者も多いのではないだろうか? (1)人事の仕事の片手間で海外危機管理の担当をしているが、何をすればよいのか・・・
その中で、補償項目4にあるコンサルタントの活用事例をトリガー (補償対象となる事件)毎に下記紹介してみよう。 この保険は日本企業の役員/従業員が海外の危険な地域でも活動せざるを得ない状況に鑑み認可されたものであることと、当該保険の付保が明るみに出ると犯人のターゲットになりやすいことから、通常の保険と違って次のような二つの注意点がある事には留意してほしい。
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